科学界の多様性を推進する”Roz”ポスター展、OISTで開催

世界中の科学者に提供している様々な支援について紹介しました。

Roz poster exhibition at Lab 4

科学者の仕事は、楽しく充実したものですが、同時にキャリアを築いていく中で困難に直面することも少なくありません。 OISTでタンパク質工学・進化ユニットを率いるパオラ・ラウリーノ准教授が2022年9月に他の科学者たちと共同で設立した「ロザリンド・フランクリン フォーラム(Roz)」は、研究、教育、後進指導、資金調達など、科学者が直面するも不安やストレスに対応できるようサポートを提供しています。また、共同研究、指導、学際性などに関しても広範な支援を行っています。 

Rozは、キャリアを積んだ世界中の科学者、特に女性教授や女性研究者からのアドバイスを提供することで、科学者の自信や機会、アクセシビリティや、包括性を向上させることに焦点を当てています。ノーベル賞受賞者数名を含む専門家たちが、ボランティアとして本フォーラムに参加しており、メンターとなって各々の数十年の経験に基づいたキャリアアドバイスを提供しています。 

「メンターたちは非常に多忙であることが多い上、その中の女性の割合はまだ多くはありません。私たちは、すべての科学者たちが活躍できるチャンスを手に入れられるように、重要な情報やサポートをより平等に提供できるよう努めています」とラウリーノ准教授は説明します。「たとえばRozの最初の活動として、世界で活躍する経験豊富な25名の女性科学者にアンケートをとり、科学者であれば誰もが抱くようなキャリアや研究に関する5つの質問に対して回答してもらいました。回答として集まった誠実で率直な意見やアドバイスは、Rozのウェブサイトで公開しています。」 

Roz共同設立者 でOISTタンパク質工学・進化ユニットを率いるパオラ・ラウリーノ准教授
OISTのタンパク質工学・進化ユニットのリーダーであり、ロザリンド・フランクリン フォーラム(Roz)の共同設立者であるパオラ・ラウリーノ教授は、ネイチャー・カタリシス誌にフォーラムについて語った。

またRozは、啓発や議論・活動の促進を目的として、世界中のRozのメンバーやサポーターである、活気に満ち溢れ、固い意志を持った女性科学者たちの印象的なポスターの数々を作成しました。 6月1日から19日にはOISTのキャンパスでこのポスター展が開催し、フォーラムの活動や、若手から中堅の科学者を中心としたすべての科学者への支援についてアピールしました。これらの美しいポスターは、Rozのウェブページから無料でダウンロードできます。

OISTで行われた”Roz”ポスター展
2023年6月1日から19日まで、OISTのトンネルギャラリー(上)、スカイウォーク、ラボ4にて、「ロザリンド・フランクリン・フォーラム フォーラム(Roz)」ポスター展が開催された。

2022年、RozはOIST財団が設立した科学分野における女性の地位向上のための「リタ・R・コルウェル・インパクト基金」から資金援助を受けました。同年、OISTは「国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成における科学とイノベーションの役割 」をテーマに開催された第77回国連総会科学サミットにも参加し、当時のOIST学長兼理事長のピーター・グルース博士、ラウリーノ准教授、OISTのサークニテ・トレド・パティノ研究員、学生のタト・ムホトゥさんと普久原 エリカさんが、「『ROZ(ロズ)』包括性、相互作用、国際性を通じて科学的キャリアを支援する」と題したセッションを開催しました。 

Rozはさらに活動を拡大し、ソフトスキルに関するQ&Aのウェブページを設けて、大学院生、ポスドク、助教、准教授、そしてその指導教官から寄せられた80の質問に対する答えを紹介しています。また、グループミーティングの運営や研究報告書作成に関する支援し、ウェブサイトの「Anatomy of a Research Report」ページでは、科学者が質の高い口頭発表や書面発表を行うためのガイダンスも提供しています。

ラウリーノ准教授は、今後、Rozのウェブサイト上でのコミュニケーションをよりインタラクティブにし、それぞれの人が使いやすくなるようパーソナライズしたいと考えています。さらに、科学におけるソフトスキルを促進し、子どもたちに科学の魅力を紹介する絵本『ロザリンド・ジュニア (Rosalind Junior) 』を出版する予定です。  

Rozは、OISTのSDGsイニシアチブの一環として、教育へのアクセス(目標4)とジェンダーの平等(目標5)に関するSDGsをターゲットにしています。「私たちが提供する情報は非常に有益で重要であると、科学者たちからありがたいフィードバックをいただいています。私たちの活動が、学術界におけるインクルーシビティ(包括的な)・プロジェクトのスタンダードになることを願っています」とラウリーノ准教授は述べ、将来のプロジェクトのための資金確保にも奮闘していると話しています。 

ラウリーノ准教授は、Rozの共同設立者であるカリフォルニア大学サンディエゴ校のMoni Hamolsky教授とともに、権威ある学術誌『ネイチャー・カタリシス(Nature Catalysis)』のインタビューを受け、フォーラムの活動と将来への抱負を語りました。ネイチャー・カリシスは、化学とその関連分野の研究論文を掲載する、国際的評価の高い学術誌です。同インタビューはこちらからご覧いただけます。(英語のみ) 

Rozに関する詳細やサポートについては、ロザリンド・フランクリン フォーラム(Roz)|OISTグループページ をご覧ください。(英語のみ) 

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