ドローンの新しい時代の幕開け

インドからやってきた企業家チームが思い描く、ドローンと人の共存社会の形

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6年目を迎えるOIST Innovation Acceleratorに、未来の日本市場における可能性を見出した2つのスタートアップが加わりました。そのうちの一社、Vyorius(ヴィオリアス)は、2021年にインドで設立され、すでにインドやシンガポール等で事業を展開しています。Vyoriusが見つめるドローンと社会の新しい関係性とは?そしてOISTを拠点として選んだ背景とは?彼らの描く未来をご紹介します。

ドローンの能力を覚醒せよ

ドローンの起源は、第二次世界大戦の混沌の中、約80年前にさかのぼります。21世紀になると、技術進化がもたらした変革により、ドローンは私たちの生活を様々な側面から豊かにする新しいツールとして位置づけられるようになりました。

今や私たちの身の回りでは、ドローンは物流や農業、建設現場、災害地域など、多岐にわたる分野で普及しています。しかし、およそ7割のドローンは、人間の制御が必要になっています。現状のままではドローンの数だけ操縦者が必要になるだけでなく、管理をするために膨大なコストがかかってしまいます。

ドローンのあり方に新たな価値観を提示するのが、インド発のスタートアップ、Vyorius(ヴィオリアス)です人間に依存しない自律的なドローンの運用を可能にするシステムプラットフォームを開発することを使命に2021年にインドで創業されました。Vyoriusは、サンスクリット語の「Vyom(ヴィオム)」と、ラテン語の「Aeris(アエリス)」をつなげた造語で、空気のように存在するテクノロジーを実現したい、といった思いが込められています。

vyorius portrait
Vyorius CEOのニシャント・シン・ラナさん(左)と、CTOのパンカジ・クマールさん(右)
Vyorius CEOのニシャント・シン・ラナさん(左)と、CTOのパンカジ・クマールさん(右)

Vyoriusが開発するシステムの特徴は、ハードウェアに依存しないこと。つまり、陸海空における様々なタイプのドローンをシームレスに一元管理することが可能になります。 Vyoriusの創設者でありCEOのニシャント・シン・ラナさんは、「この画期的な技術により、一度に様々な自律型ドローンをまとめて管理することができ、私たち人間とドローンに大きな自由と可能性を開放することができるのです。これは、ドローンの能力を覚醒するような試みです」と話します。さらに Vyoriusのアプローチは、ドローンの複雑な管理を簡素化するだけでなく、運用上の安全性を確保したり、メンテナンスを予測可能にしたり、プロジェクトの規模に合わせて拡張可能なスケーラビリティを提供することができます。

Vyoriusは、日本・アジアにおける市場拡大を図り、技術の改善をするために、戦略的に沖縄科学技術大学院大学(OIST)を拠点として選んだと話します。ラナさんは、「日本は無数の島から成り立っていて、ドローンが活躍できる機会が多く存在するとみています。さらに高齢化社会が進むことで、ドローンが貢献できる場所は無数に増えていくでしょう。そして、災害の多い日本では、災害調査といった場面など、ニッチな需要があるとみています。私たちのテクノロジーによって、ドローンの真の可能性を開放させることができれば、私たちの生活に大きなインパクトを与えられると確信しています」と話し、日本における新たなドローンの価値の創造に大きな期待をしています。

今後、Vyoriusは、沖縄を拠点にして日本市場での事業拡大を目指し、事業パートナーを見つけるとともに、県内で実証実験を展開する予定です。また、OISTでの水中ドローンを使用するような研究の場でも、システムの検証を計画しています。

*OIST Innovation Acceleratorとは: 沖縄県の財政支援を受けて2018年にスタートした、沖縄初のグローバルスタートアップアクセラレータープログラムです。

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