新里博士がロッキーチャレンジ賞を受賞

ロッキーチャレンジ賞は、優れた貢献や功績が認められる沖縄県出身者に贈られる賞です。

 沖縄科学技術大学院大学(OIST)マリンゲノミックスユニットグループリーダーの新里宙也博士が2015年ロッキーチャレンジ賞を受賞しました。同賞は2010年に日産ディーゼル工業元社長で那覇市出身の仲村巌氏が設立したもので、志やチャレンジ精神において優れた思考と行動を併せ持っている個人や団体に贈られます。新里博士はサンゴ研究者としてのこれまでの輝かしい活躍が認められ、6人目の受賞者に選ばれました。

「このような素晴らしい賞をいただき、大変光栄に思います。沖縄の若い人への励みになれるよう、今後も精進していきます」と、5月29日に琉球大学(西原町)で行われた授賞式で新里博士は喜びを口にしました。授賞式の後には、集まった大勢の大学関係者を前に基調講演も行いました。

新里博士の主な研究業績としては、サンゴの全ゲノム解読(2011 年7 月)サンゴと共生する褐虫藻の全ゲノム解読(2013 年7 月)サンゴ共生体遺伝子同時解析(2014 年1 月)などがあり、いずれも世界初の快挙を成し遂げています。また、沖縄県のサンゴ礁保全再生事業にも参加し、サンゴ礁を形成する最も代表的なサンゴであるミドリイシ属の個体を識別するためにDNA 鑑定の手法を編み出すことに成功しています(2014 年5 月)。これにより、サンゴ植え付けや移植の際に、サンゴの種レベルでの多様性もさりながら、個体レベルでの遺伝的多様性も確保しつつ、自然状態とほとんど変わらないサンゴ礁を作り出すことが可能になります。本研究成果で確立した手法は現在特許出願中です。

 新里博士は、小学生の時、家族と夏休みに訪れた慶良間諸島で美しいサンゴ礁や海の中を泳ぐ魚の群れを見て、生物系の勉強に興味を抱きました。京都大学農学部では水産系の研究室に所属。カキやムラサキガイなど二枚貝の無脊椎動物が海洋の環境変化にどのように対応しているかを分子レベルで調べました。その後、幼少の頃見たサンゴ礁の光景が忘れられず、オーストラリアのジェームスクック大学大学院でサンゴの研究を開始。沖縄科学技術研究基盤整備機構(OIST)には博士課程修了後の2008年に入構、2011 年のOIST 開学を経て、現在に至ります。

 (名取 薫)

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