芭蕉布繊維の断面と表面構造

一連の画像と3D可視化画像。上の写真は、イトバショウの偽茎の断面を示しており、それぞれ異なる繊維を示す注釈が付されている。その下には、4種束の繊維の写真。その下は繊維横断面の顕微鏡画像で、細胞壁の厚さの違いが確認できる。その下には、緑色の3D投影画像、さらにその下には、白黒のSEM画像が並んでいる。

芭蕉布繊維の画像解析。上の写真は イトバショウの 偽茎の断面を示しており、 繊維が採取される層が確認できる。 a)は四つに分類した芭蕉布繊維の写真。最も強靭な「ワーハ」はインテリア用の織物に、最も柔らかな「ナハグ」は着物に使用される。ナハグはさらに「ヌキ」と「ハシ」に分類され、それぞれ緯糸と経糸として織物に用いられる。 



b-g) は繊維の断面図を同じ順序で示している(b: ワーハ、c: ナハウ、d, e: ナハグ・ヌキ、f, g: ナハグ・ハシ)。各繊維を特徴付ける細胞壁の厚さの差異が確認できる。繊維のハニカム構造は、水分の拡散を促し、汗を皮膚から遠ざけることで体を涼しく保つ役割を果たすと考えられる。 



h-k) は染色顕微鏡画像に基づく3D投影像を示している。加工過程で蓄積された残留物(矢印)が一部に見られるが、より細いナハグ繊維(k)ではこの残留物は確認されない。 



l-s) は繊維表面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。上段のスケールバーは100μm、下段のバーは10μmとなる倍率で撮影されている。ナハグ繊維は、他の繊維に比べて表面が滑らかであることが確認できる。 



日付:
2025年11月10日
出典:
小泉、他(2025年)
シェア: