若い英知がOISTに集結

OISTではこの1週間の間に、科学者及び起業家として将来有望な若手がアイディアと実現力を競い合うサイエンス・フェア「SCORE」と、「基礎科学がいかに世界を救えるか」をテーマにしたポスターコンテストの2つのイベントを開催しました。

 多くの優秀な研究者が活躍しているOISTでは、未来の科学者の発掘にも力を入れています。本学はこの1週間の間に、科学者及び起業家として将来有望な若手がアイディアと実現力を競い合う「サイエンスinオキナワ:起業のための研究能力サイエンス・フェア(SCORE)」と、「基礎科学がいかに世界を救えるか」をテーマにしたポスターコンテストの2つのイベントを開催しました。

 OIST及び在沖米国総領事館による主催で、沖縄県教育委員会をはじめ多くの団体・企業の後援・協賛により3月16日に開催された「SCORE」には、県内10の高校から14チームが参加しました。各チームは10分間の制限時間の中で、それぞれの研究プロジェクトがいかに社会に直接影響を与えるようなビジネスに応用できるかを説明しました。その結果、入賞者全員にOISTでのインターンシップの機会が与えられることが発表されたほか、それぞれに賞が授与されました。

 見事1位を獲得したのは、沖縄県産の柑橘類として知られるシークワーサーの廃棄部分となる皮を原料としたアンチエイジング化粧品の開発について発表した国立沖縄高等専門学校に通う宮里春奈さんと島袋友美さんのお二人です。優勝者のお二人は、米国サンフランシスコのシリコンバレーへの旅が授与されました。全ての発表を英語で行った宮里さんと島袋さんは、起業家精神を持った優れた科学者であるだけでなく、英語にも堪能であることを証明しました。

 第2位は、沖縄県立北部農林高等学校に通う山城南希さん、並里崚輝さん、比嘉章乃さんの3名が受賞しました。ここでも、シークワーサー搾汁時に廃棄処分となる残渣の果皮・果肉などを粉末状にし、栄養価を高めるために食料品に添加するといったアイディアが紹介されました。表彰された3名の若いイノベータ―には、それぞれiPadが贈呈されました。

 また、沖縄県立中部農林高等学校に通う宮里雅さん、大石彩さん、荷川取美憂さんの3名は、県産紅イモの病害虫への抵抗力を強化する農業生産システムの開発で第3位に選ばれ、ホテルの宿泊券と食事券を手に入れました。

 そして3月18~19日にかけては、OIST研究科オフィス主催による「基礎科学がいかに世界を救えるか」をテーマとした科学技術ポスターコンテストで入選を果たした14名の学生が全国各地からOISTに集まりました。同コンテストで学生たちは、基礎科学をいかに現代社会に役立てることができるかを英語のポスターで表現することが求められました。入選者は沖縄に招待され、OIST常勤の英語講師、ケビン・ハント氏による「英語による効果的な研究発表」と題したワークショップに参加しました。それに加え、OISTの博士課程の学生や研究者、教員との交流の機会が設けられ、キャンパス見学も実施されました。

 コンテストの大賞は、広島大学で物理学を専攻する引地奈津子さんが受賞しました。引地さんは、圧電材料を利用した自然エネルギー発電についてポスター制作及び発表を行い、人が跳ねたり踊ったりすることで生み出されるエネルギーを、いかに家電製品の消費電力に変換することができるかを説明しました。

 特別賞は、慶應義塾大学で生物学を学ぶ川崎翠さんと、順天堂大学医学部在学中の大矢めぐみさんが受賞しました。川崎さんは、人のメタボリズム(代謝)の研究がいかに予防医学につながるかを説明しました。大矢さんは、スーパーコンピュータを活用した数学モデリングの複数の応用方法とその重要性について発表を行いました。

 両イベントで審査員を務めたOISTのニール・コールダー副学長(広報担当)は、「今回参加した優秀な学生は、優れた科学の才能を示しただけではなく、自身の研究を明確かつ効果的に伝えるという能力を発揮しました。これは将来の科学者に欠かせない能力です。」と話し、「科学の未来をテーマとした両コンテストで、入賞者のほとんどが女性だったのも特筆すべきことです」と、その活躍を喜び、若手を激励しました。

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