2013-03-01

雨にも負けず

  沖縄の2月の天候は日によってずいぶん異なります。春の到来を告げる日があるかと思えば、冷たい雨が降り冬に逆戻りする日もあります。2月22日にOISTの講堂で開催された日本古武道の演武会の開始1時間前には、灰色の雲が空を覆い尽くした途端雨が降り始め、来場した地元の方々やOIST職員・学生はあいにくの悪天候に迎えられました。本演武会は、OISTが年間を通じて行っている一般公開の文化イベントのひとつであり、オープンキャンパスを始め、クラシックコンサートや講演会などが開催されています。2013年のオープンキャンパスは、来たる3月3日(日)に開催されます。

 屋外は風雨が吹き荒れるなか、講堂の照明が落とされ、県内の4団体による合気道、鎖鎌術、なぎなた、居合道の演武が始まりました。4種の古武道の技や哲学はそれぞれ大きく異なりますが、漢字が示す通り、戦う術を身に着ける「武術」と人の生き方を探求する「武道」に大きく分けられます。これらを総称して古武道と呼びます。

 最初の演武では、合気道の武道家6名が、相手をかわすことで身を護り、攻撃を無力化する技を示しました。合気道とは、その名称が示唆する通り、戦う術を教えるものではなく、「和」の精神を追求する武道です。合気道では相手の力を利用して身を護る技を身に着けるため、強い力は必要ありません。実際、演武を行った武道家のなかに70代の方もいらっしゃいました。

 鎖鎌術は合気道と大きく異なり、鎖鎌と呼ばれる武器で相手にとどめをさす武術です。鎖鎌は、草刈鎌の木の柄に、分銅がついた鎖が取り付けられたものです。鍛錬を積んだ鎖鎌術の武道家は、相手の刀を鎖でからめ取ることで攻撃を止め、鎌で相手のとどめを刺す技を身に着けています。

 他の古武道とも共通しますが、なぎなたは「武道」と「武術」の両面から鍛錬を積むことができます。日本では徳川幕府の時代(1603-1868)に主として婦人の護身用として用いられ、武家の女子は主人の留守中に家を護るための心得として身に着けたと言います。現在、なぎなたは女子の武道として発展しています。

 OIST職員にも武道家がいます。細胞分子シナプス機能ユニットの江口工学研究員は、居合道の演武を行いました。「居ながらにして合わせる」を意味する居合では、刀による不意の攻撃に対処する技を身に着けます。居合道では、多くの場合、ひとり又は複数の相手を想定しながら独りで稽古を行います。実際に相手と稽古をすることもありますが、居合の形は、無駄を省いた効率的な動きを追求した厳密な型があり、それを勝手に変えることはありません。全ての動き、又は「形」は刀を鞘から抜くことから始まり、鞘におさめることで終わります。

 演武会の最後に挨拶に立ったニール・コールダー副学長(広報担当)は、悪天候のなかご来場頂いた皆様に感謝を述べ、「今回初めてOISTに足を運んで下さった皆様には、これが最初で最後にならないよう願っております。」と締めくくりました。

(ヴァネッサ・シパニ)

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