2011-07-01

氷で省エネルギー: 電力消費時間の調節による節約と利用効率化

  晴れ渡った空と透き通ったサンゴ礁の海。それが亜熱帯の島、沖縄の魅力です。OISTで働くことの大きな利点のひとつはなんと言ってもこのロケーションです。一方で、「亜熱帯」や「輝く太陽」は「湿気」や「灼熱」を意味し、OISTの実験スペース、オフィス、そして高性能コンピューター設備は、湿度と温度を適正に管理しなくてはなりません。

  OISTの空調費抑制の秘訣は「氷」にあります。その氷は、実はOISTの職員が働くオフィスや会議室があるセンター棟の床下にあります。そこには、容量540,000リットルを超えるタンクがあり、毎晩、2つの巨大な「スーパー冷凍機」がタンク内の水を凍らせ、重さ180トン以上(これは大人のシロナガスクジラより大きいサイズ)の氷の塊を作り出します。そして日中、3つの大きなポンプがタンク内に取り付けられた管を通して水を循環させます。冷却された水は、その後、空気中の熱を吸収したセンター棟と第1研究棟の放熱管内を巡ります。

  ポンプは毎朝8時に動き出し、夕方5時にはすべての氷が溶けてなくなります。5時以降は従来のエアコンでの対応となります。氷を使用することによる日中の省エネルギー効果はおよそ毎時1,000キロワットにも及びます。

  電力が最も割安な夜間に氷が作られるため、このような「蓄熱システム」は大きな経費抑制につながります。さらに、これは単におカネの話にとどまりません。電力は効率的に蓄えることができないため、電力会社は需要の低い夜間は電力を余らせ、エアコンなどの使用で全島にわたって自然と需要が高くなる日中は電力不足となります。これが夜間の電力が日中より割安である理由です。

   仮に電力会社が、ピーク時の需要に対応するため発電機の数を増やすとなると、需要が少ない時間帯には使われずに放置されるだけの高額な機器を導入し、維持・管理する必要が生じてしまいます。夜間電力を活用し、日中の電力需要量を減らすことにより、OISTは節約をしながら電力会社の効率性にも貢献しているのです。

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左手前と右奥の2つのスーパー冷凍機が毎晩タンク中の水を氷にしている

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防災センターにある蓄熱システムのコントロールパネル

 

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防災センターで監視するビル管理スタッフ。ここでは照明からドアの施錠、エアコン、セキュリティーに至るまですべてが集中管理されている

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蓄熱システム導入前と導入後の電力需要量を比較しているグラフ。青い線は従来のエアコンのみを利用していた2010年7月6~7日の電力需要量を示し、ピンクの線は蓄熱システムを利用し始めた2010年8月18~19日の電力需要量を指す。これらの期間の屋外気温はいずれも同程度であったにも関わらず、日中のピーク時平均電力需要量の差は毎時約1,000キロワットにも及んだ。

 
(訳:今村仁美)
(クーパー・マイケル)

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