沖縄の景気回復と県民を守るため、大胆な発想を

 沖縄では4月30日以降、新型コロナ感染の新たな症例は1例もありません。6週間以上連続で陽性患者が出ておらず、沖縄県民はウイルスが存在しない生活ができていると考えてよいでしょう。

 マスクを着用したり、社会的距離を維持したり、政府推奨の対策を採用したりなど、日本の社会慣習や人々の真摯な取り組みが比較的穏やかな結果をもたらしてくれたことを幸いに思っております。

 沖縄では、わずか142件の感染例しか記録されませんでした。しかしこれまでの記事で述べたように、沖縄経済は大きな打撃を受けました。サービス部門の仕事、特に観光産業は、大規模な雇用喪失とGDPの深刻な減少に見舞われました。ホテルやレストランは閉鎖されるか、長期間にわたって部分的に営業を縮小せざるを得ない状態となりました。沖縄の観光アトラクションは無観客となり、タクシー、レンタカー、バスのチャーター、など交通機関への影響も大きくなっています。

 今後数年にわたる打撃は避けられたとしても、この数か月で私たちが直面している課題は、新型コロナウイルスから沖縄県民を守ることと、雇用と景気を守ることのバランスを見い出すことです。

 このことは差し迫ったジレンマを示しています。例えば旅行業界を活性化するためには、訪問者を歓迎する必要がありますが、訪問者の中にはウイルス保持者が潜んでいる可能性も認識した上で誘致しなければなりません。

 さて、県境を超えた旅行を許可するという最近の日本政府の決定では、新型コロナウイルスが再び沖縄に入る可能性により、ウイルス感染の第2波のリスクが生じています。したがって旅行者がウイルスに感染していないかどうか、陽性と診断された場合は、迅速に隔離されるようにできる限りのことを行う必要があります。

 これを実現するためのツールはすでに存在しており、私たちはそれを活用する必要があります。

 そこで私は、沖縄を訪問するすべての人々がPCR検査を使用してチェックされることを提案します。検査によって微量のウイルスも検出できます。理想的には、検査キットは旅行者自身が、機内、船内、もしくは空港や港で、3,000円から4,000円で購入します。到着次第、港または空港にて、職員が旅行者から検査キットを受け取ります。昨年、沖縄には毎日平均7,000人の国内旅行者が訪問しました。今年は昨年の半分のみが訪問すると想定すると(これでもパンデミック危機を考えれば楽観的数値です)、沖縄では3,500人の訪問者に対する日々の検査が必要となります。県内病院や診療所だけでなく、OISTも協力することで日々の必要検査数がまかなえると確信しています。

 沖縄へのすべて旅行者には、社会的な距離を厳守し、沖縄到着の初日はマスクを着用して過ごしてもらいます。この間旅行者は、テキストメッセージまたはスマートフォンアプリを介し、テスト結果について通知されます。圧倒的多数は陰性となるでしょう。陽性と判定された少数の人々に対しては、直ちに隔離措置を講じます。

 日本政府は現在、新型コロナウイルスに感染した人とコンタクトした可能性がある場合、通知を受けることができるスマートフォンアプリ(COCOA)の使用を推奨しています。

 私たちは誰もがこのアプリを使用することを奨励する必要があると考えます。COCOAは個人のプライバシーが損なわれず、個人データが適切に保護されるよう注意深く開発されています。このテクノロジーは、感染者の近くにいた人々の迅速な追跡に役立ちます。感染者と密接な接触があった人に通知がなされます。COCOAを使用するということは、できるだけ早く警告を受け、隔離対策を取り、再検査ができるということを意味します。

 PCR検査と接触追跡アプリを組み合わせることで、沖縄県民が可能な限り高いレベルの安心と安全を得ると同時に、沖縄への訪問者数を再び増やし、業界に息吹を吹き込む道が拓かれるでしょう。

 検査費用は旅行者が負担する必要があるでしょう。それでも検査費用負担による訪問者数へのマイナスの影響は、ウイルスの第2波が起き、沖縄に再び制限やロックダウンが生じてしまう事態よりも、沖縄経済と雇用市場へのリスクは低くなると考えられます。

学校法人沖縄科学技術大学院大学学園理事長、沖縄科学技術大学院大学学長 ピーター・グルース博士 2020年6月28日

琉球新報のウェブサイトで本記事<新型コロナOISTによる洞察>9 県民の生活守るには ツール活用し景気回復を読む。