22.2 利益の相反の例

本学の全ての役職員が、利益及び責務の相反を認識し、開示し、その発生を防ぐことは極めて重要です。利益の相反が生じ得る事例は多様で、数限りなくありますが、ここにいくつか例示します。

 

22.2.1 民間スポンサーからの多大なギフト

本学の研究に対する民間のスポンサーからの多大なギフトは、本学の研究プログラムへの当該企業の影響やその管理体制への疑念を引き起こす可能性があります。また、特定の企業が多数の教員の研究に資金提供したり、多数の教員に多額のコンサルティング料を支払ったりする場合にも同様の懸念が生じます。

22.2.1.1    技術ライセンスに係る便宜又は知的財産に係る優先権の付与等と引き換えとしてのギフト又はギフトの約束は利益の相反を生みます。

22.2.1.2    収益の一部を本学に寄附することとしている同窓生のベンチャー基金は、利益の相反の状況を生むものでないか(利益相反が実際に存在する場合も、それが存在すると見なされる場合も含みます)慎重に精査されなければなりません。

 

22.2.2 「経済的利益」のある事業体からの物品及びサービスの購入

本学の研究のスポンサーである、又は本学から技術のライセンスを受ける、又は本学の活動及び取組に大きな資金提供等の貢献をする事業体から、物品及びサービスを購入することは、利益の相反を生む状況に至る可能性があり、慎重に精査及び評価されなければなりません。その結果、そうした取引を進めることとなった場合には、その根拠を記した書面が必要となります。

 

22.2.3 外部からのギフトや優遇

本学の取引先、又は取引を希望している相手から、本学の役職員に対しギフト(受け手の個人的利益となるあらゆるもの)の申し出があることがあります。その範囲は幅広く、菓子折り、役職員への食事の提供からリゾート地への招待旅行(例えば、「講演のため」とされる旅行)といったものまでが考えられます。研究スポンサー及び取引業者から、法外な謝金、過剰な講演料、贅沢な出張及び宿泊手配、高額な機器のギフト、又はその他の豪華な待遇が提示される可能性があり、これらは、多くの場合、役職員の本学における活動を「支援するもの」として提供されます。こうした優遇は利益の相反を生むものであり、容認されません。

ただし、ポケットティッシュ、カレンダー、メモパッド、ボールペン、研究資材の試供品など、社会通念上、「広く一般に配布するための宣伝用物品又は記念品」とみなされるものは、受け取ることができます。

22.2.3.1 利益相反関係のない国内外の大学又は研究機関から1件5,000円以下のギフトや謝礼を受けることは可能です。ただし、5,000円を超える飲食等のギフトや謝礼は、COOに「贈与等報告書」を提出してください。

 

22.2.4 本学のテクノロジーのライセンスに伴う「経済的利益」

本学では、本学における発明を権利化し、営利事業体に対してライセンスを付与するプログラムを積極的に進めています(14章 )。 多くの場合、こうしたライセンスに基づく製品開発の成功や、時にはその事業体の発展自体によって、本学は「経済的利益」を得ることになります。こうした「経済的利益」が研究、教育又はその他の活動に関する意思決定に影響を与える可能性が生じてくる場合、懸念事項となります。例えば、個々の研究者には個人的な利害関係が存在しなくとも、ライセンスを与えた技術に基づく開発の成功により本学が経済的に利益を得るということを知ることによって、関連する研究、研究目的、成果の普及及び競合するプロジェクト間における本学のリソースの配分に影響が出る可能性があります。ライセンスを受けた者(ライセンシー)が本学の研究のスポンサーである場合には、利益の相反の可能性は高くなります。そのような場合には、ライセンスに付随する本学の「経済的利益」によって、資金提供を受けている研究の条件又は実施に関わる意思決定に影響が出る可能性があります。

22.2.4.1  新規設立企業の株式の保有。新規に設立する企業に対し、ライセンスを与える場合において、ライセンス料又はロイヤリティを減免する代わりに本学が当該企業の株式を受け取ることも考えられます。財政的観点からは、株式の保有による潜在的利益が、ロイヤリティのみのライセンスから見込まれる利益を大きく上回る可能性もあります。大きな利益の可能性、及び、それが何らかの製品がマーケットに出るずっと前から得られる可能性があると認識されることによって、本学の保有する株の価値に影響を与えうる本学の研究について、意思決定が影響される、又は影響されるように受け取られる可能性が高まります。こうした契約は全て開示され、「経済的利益」を得る可能性によって、研究に関わる本学の意思決定が影響されていないことを確実にするよう、慎重に精査されなければなりません。

22.2.4.2  教員による起業の支援を専門とする本学の役職員の活動(例えば、起業間もない企業との財務関係の仲介)は、大学にとって特別な形の外部との接触となり、「組織的な利益の相反」が生じていると受け取られる状況につながることがあります。利益の相反を防ぐために、これらの活動が報告され、継続的にモニタリングされることが重要となります。

 

22.2.5 民間スポンサーとの基本協定

研究の強みが知られることによって、民間の事業体から、特定の分野における研究に対する長期的な資金提供の申し出を受ける場合があります。このような資金提供は多くの場合、基本協定に基づいて行われるものであり、それがスポンサーとなる企業側に便宜が図られることを意図するものである可能性があります。不適切な便宜供与又はその他の利益の相反を防ぐために、そのような協定は、当該協定の実施に関与しない者によって慎重に審査されなければなりません。

 

22.2.6 アドバイザリー・コミッティへの参加及び営利事業体との連携協定

連携協定の締結、アドバイザリー・コミッティや研究評価パネルへの参加、及びその他の委員会等への参加によって、研究成果を特別に入手できる立場となることがあります。そのような連携及びその根拠となる契約又は協定等については、利益の相反を招く、又は利益の相反が存在するかのように受け取られる条件が含まれないよう慎重に精査されなければなりません。

 

22.2.7 人を対象とする研究

本学は人を対象とする研究の被験者に対し特別な責任を負っており、被験者に対する基本的な義務が金銭的関係によって影響されることがあってはなりません。このため、こうした研究は慎重に精査され、利益の相反が存在しているように受け取られることすら無いようにしなければなりません。その他、人を対象とする研究に関係する事項については、13章を参照して下さい。

 

22.2.8 非公開情報へのアクセス

本学の理事、評議員、及びその他の役職員は、本学における責務及び職務を果たすうえで、新たな技術及び画期的な発明に関する情報を他より早く知る可能性があります。同時に、これらの者が、大規模な寄付を行うことや、技術のライセンスを受けること、又は本学の研究のスポンサーになること等を検討している企業の経営に携わる立場であったり、役員会の一員であったりすることがあります。こうした情報を個人の利益のために使用することは倫理的問題及び利益の相反を生むものです。本学の役職員として入手した情報を個人的な目的で使用することは禁止されています。

Table of Contents