14.3.9 研究成果有体物に関するルール(TRP)

以下に記載する事項は、本学が所有する及び/又は管理する研究成果有体物(TRP)の管理及び分配に関する説明です。TRPは、本学の契約上の義務の対象である可能性があり、以下のルールは、有体財産の管理に影響する他の基本方針と整合的に、かつそれを補足するように解釈され適用されるものです。

14.3.9.1 TRPの所有権。TRPは、通常、本学が所有権を有するか、又は委託研究契約及び研究助成(契約)に基づく所有権及びその他の規定の適用を受けます。例えば、政府の研究助成(契約)又は委託研究契約に基づいて生産される微生物等の試料は、通常、消耗品として本学の所有物となりますが、同時に当該研究助成(契約)又は委託研究契約の条項の適用対象ともなります。契約終了後の委託者によるキャンパス外での使用のために本学で製作された装置(例えば、委託者との契約に基づき本学で製作される機器)は、通常、当該委託者が単独の所有者となります。
 
14.3.9.2 TRPの管理。適用される研究助成(契約)又は委託研究契約及び本学の基本方針の条項に従うことを条件として、教員(TRPが委託研究プロジェクトの一部として開発された場合以外は、研究室の長又はプロジェクトの責任者)が、研究活動の過程におけるTRPの開発、保管、使用及び分配の管理責任を負います。この管理責任には、研究室を超えた他人による科学的使用のためのTRPの分配の要否及び時期についての決定を含みます。 
 
14.3.9.3 アクセスの自由。本学の「オープンな研究環境」の基本方針は、「…開放的研究の原則-全ての利害関係者による基礎データ、方法及び研究の最終的成果へのアクセスの自由の原則-は、最重要事項の一つ」であることを明記しています。この原則に整合するように、研究者の所属する研究室外の科学者との間における、適時かつ開放的なTRP及び関連する研究データの交換を促進することが本学の基本方針です。 
 
14.3.9.4 商業上の考慮。TRPは科学的価値だけでなく、商業的価値を有する可能性があるため、研究者は、その価値を損なったり商業的展開を阻害したりしない方法で、TRPを広く科学的使用に供すること、又は公共の利用に供することを望むかもしれません。正当な非商業的理由で他人による科学的使用へのTRPの分配に一時的な遅れを生ずることはありえますが(例えば、安全面の配慮による場合又は分配前にTRPをより十分に特徴付ける必要性による場合等)、商業化の可能性に関する考慮が、科学的交流を阻害することがあってはなりません。
 
14.3.9.4.1 TRPからの収入。TRPは、営利目的で売却することはできません。もっとも、TRPに関する無体財産権の商業的使用について、その使用料等収入の提供を含む実施許諾契約を、TLSを通じて交渉することは可能です。TRPを研究室外の研究者に分配しようとする場合は、原材料及び輸送に係る経費は受取人が負担し、その額は、それらの経費を支出した会計に収入として戻入されなければなりません。
 
14.3.9.4.2 契約上の義務。何らかの初期費用が委託研究契約を財源とする場合は、GRCは、TRPの分配及び戻入される経費の処理に関する契約上の義務について意見を求められなければなりません。TRPの分配について何らかの費用が徴収される場合は、監査のために適切な書面を作成し保管する必要があります。
 
14.3.9.5 TRP手続。TRPの特定及び分配に関する以下の手続は、研究目的TRPの従来型の公開及び交換を助成し、TRPの潜在的商業価値を保全し、公共の利用のためのTRPの更なる開発を支援し、かつ、本学及びその被用者を、他人による本学TRPの使用に起因する賠償請求から保護するためのものです。
 
14.3.9.5.1 識別システム。上記の評価によって公益的又は商業的価値が特定された場合、各TRP試料には、本学又はその他の場所で開発された類似の物品と識別するに足りる、明確な識別コード及び名称が付与されなければなりません。適切な識別システムの開発に関する支援及び既存の本学のシステムに関する情報は、TLSに相談して下さい。
 
14.3.9.5.2 標章の所有権。必要に応じ(例えば、コンピュータソフトウェア)、各試料には、著作権、商標、政府の権利に関する表示等を含む、本学の契約上の義務及び管理上の必要性に適合するように、TRPの所有者の名称その他の標章及び凡例を付さなければなりません。委託研究契約及び研究助成(契約)により要求される識別、標章及び凡例に関する情報は、GRC又はTLSから入手できます。
 
14.3.9.6 研究目的TRPの分配。非営利的な研究目的のために分配する場合は、その都度、以下の文言又はそれと同等の文言を含む送り状を添付しなければなりません。
 
「沖縄科学技術大学院大学の記録用として、(1)受領するS-(生物学的登録番号を記入)を、貴研究所における貴殿による非臨床研究のためにのみ使用すること、及び(2)S-を他のいかなる個人又は団体による使用に供しないこと、に同意することを表示するため、この送り状の写しに署名のうえ、私にご返送下さい。」
 
14.3.9.6.1 注意:特定のTRPの輸送、保管又は使用に関してバイオハザードその他の危険が生じうる場合、又は受取人がTRPを臨床研究に使用しうる場合には、研究安全セクションはTRP分配契約書に適切な警告文を盛り込むことに関する相談を受けなければなりません。又は、GRCが、標準TRP分配様式又は研究成果有体物移転契約[link: ]を、適切な警告文を含んで提供することができます。(注:感染性剤又は遺伝子組換え試料の移転に関する規制に係る情報については、研究安全セクションに連絡して下さい(research_safety@oist.jp)。)
 
14.3.9.7 TRPソフトウェアの分配。研究目的のみのためであれば、本学が所有するコンピュータソフトウェアの分配は、教員による二次的使用の管理を望まない場合には、自由に行うことができます。例えば、ある教員が、特定の研究計画に従うことを受取人に望む場合等です。この種の分配は、全て、関係する委託研究契約又は研究助成(契約)の規定及びソフトウェアの商業的展開は行わないとの受取人による同意の対象となります。
 
14.3.9.7.1 TRP分配契約。本学が所有するソフトウェアが商業的価値を有する場合、又は二次的使用を管理することが望ましいと認められる場合は、研究目的のための分配は、TLSによって調整されなければならず、また、受取人との間において適切な合意が締結されなければなりません。TLSは、必要に応じて商標及び著作権の登録を調整します。また、TLSは、必要に応じて、商業的価値を保全するための分配契約の文言を提供し、既存の又は見込まれる商業的利用許諾契約の調整を担当します。
 
14.3.9.7.2 TRPの委託研究契約上の義務。委託研究からソフトウェアが生ずる場合は、GRCは、所有権、各種権利の処分、並びにTRPの分配・使用及びTLSからの支援に伴う関連収入についての制限について記述された契約上の義務及び規定について相談を受けなければなりません。
 
14.3.9.8 その他の形式のTRP。生物学的試料以外のTRPの分配に関する手続は、通常、上記に説明したコンピュータソフトウェアの例に従います。
 
14.3.9.9 商業目的のためのTRPの分配。研究活動の結果として本学によって開発されたTRPが商業目的で外部の利用者に分配される場合には、その分配契約には、当該有体物が使用される条件、当該有体物又はその派生物に関する本学の責任の限定、及び当該有体物の使用に付随する無体財産権の利用許諾に係る使用料等収入の処理方法を含むTLSによって事前に交渉された条項を含まなければなりません
 
14.3.9.10 収入の分配。特許の使用料等以外のTRP関連の使用料等収入の分配は、「発明者への分配分」が原則としてTRPを製造した研究室の研究用会計に分配される点を除き、(収入の分配に関する契約上の義務に服することを条件として)特許の使用料等の分配に関する基本方針と同様です。各個人への使用料等収入の分配に関して疑義があれば、TLSに質問して下さい。個人へのいかなる分配も、首席副学長(技術開発イノベーション担当担当)による事前の承認が条件となります。
 
14.3.9.11 委託研究契約上の義務。委託研究からTRPが生ずる場合は、GRCは、所有権、通知、同意、各種権利の処分、並びにTRPの分配・使用及び関連収入についての制限について記述された契約上の義務及び規定について相談されなければなりません。

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