13.3 ルール

13.3.1 教育訓練

安全衛生及び環境保護に関する教育訓練には、教室形式、オンライン形式又は実地講習で提供されています。本学では、教職員、学生、招聘者、交換学生、インターン等、本学で活動する全ての者は、帰属先や期間の長短に関わらず、活動の内容に応じて必要とされる教育訓練を活動前又は必要な申請を提出する前に受講しなければなりません。受講した教育訓練の有効期間は、原則として5年間です。ただし、安全衛生の基本と研究安全に関するアップデートセッションは、毎年受講しなければなりません。その他、有効期間が5年間より短い教育訓練があります。教育訓練は、法令改正等本学が必要と判断する場合又は有効期間が切れる前に再受講されなければなりません。教員やセクションリーダー等の管理監督者は、必要な教育訓練を受講するとともに配下の教職員及び自らが受け入れた学外者に対して必要な教育訓練を指示し、それらの者が同教育訓練を受講していることを確認しなければなりません。教育訓練及び受講対象者に関する詳細は、WEB Linkを参照してください。

13.3.1.1 安全衛生の基本
安全衛生の基本(Basics of Health and Safety)は、安全衛生及び環境保護に関する包括的な教育訓練であり、入校後、最初に受講する重要な教育訓練の一つです。同コースは、本学で活動する者として知っておくべき安全衛生に関する基本事項をまとめたものです。緊急時の措置、関連法令等による規制及び本学の関係規則の全体像を把握することができます。 研究や実験に直接には関わっていない事務系教職員(及び委託事業者の教職員)を含め、本学で活動する全ての者は、同コースを受講しなければなりません。同コースは、法令や 本学規則等の改正に伴い更新されます。1年間の有効期間が切れる前に、再度受講してください。

13.3.1.2 責任ある研究行為
「研究活動に関する不正行為への対応等に関するガイドライン(平成26年8月26日文部大臣決定)」は、大学等の研究機関において広く研究活動に関わる者を対象に研究倫理教育の実施を求めています。本学で研究活動又は研究支援に関わる者は、責任ある研究行為を受講しなければなりません。研究活動に直接関わらない事務系職員もその受講が強く推奨されます。[Link: 4.8.2]本学以外の第三者機関が提供する研究倫理教材の受講も推奨します。外部研究資金を獲得した者は、追加の研究倫理教材の受講が求められることがあることに留意する必要があります。有効期間は5年間です。

13.3.1.3 特定の業務に関する教育訓練
特定の業務については、法令、指針又は安全対策上の必要性により教育訓練の受講が必要です。本学で活動する者は、関連する申請手続きを執る前又は活動を開始する前に、必要な教育訓練を受講しなければなりません。特定の業務に関する教育訓練は、法令の他、安全衛生セクションのウェブサイトで情報をえることができます。本学で活動する者は、受講が義務化されているコースに限らず幅広いコースを受講することが推奨されます。また、コースの中には、受講が必須のモジュールと参考モジュール等複数のモジュールにより構成されているものがあります。受講が必須のモジュールはもちろん参考モジュールについても積極的に受講することが推奨されます。

廃棄物の回収や清掃に従事したり実験エリアに入室する取引先等は、作業を開始するする前及び少なくとも5年間に1回、安全衛生に関するアドバンスドプログラムを受講しなければなりません。

13.3.2 危険作業及び有害物取扱い作業

危険作業及び有害物取扱い作業を行うときには、常に以下の一般ルールに従ってください。

  1. 高温、高圧、高電圧、高速度、高重量の装置を扱うときは、十分な防護処置をし、慎重な取扱いをしなければなりません。
  2. 使用経験のない装置を取り扱うときには、取扱説明書等を事前に熟読するなど必要な準備を行うとともに使用する前に経験のある人の指導を受けなければなりません。
  3. 事故防止のため、取扱いに熟練を要する装置は、基本操作を習得した後に取り扱わなければなりません。
  4. 使用後、装置及びその周りの後片付けを行い、もし不備な個所があれば速やかに修理をするか、またはその旨を次の使用者に伝えなければなりません。
  5. 必要に応じて、次の保護具を備えておき、使用しなければなりません。
  • 眼及び顔の保護具(顔面シールド付き眼鏡など)
  • 身体及び手足の保護具(保護衣、手袋、安全靴など)
  • 呼吸用保護具(防塵マスク、防毒マスク、空気呼吸器など)
  1. 保護具はいつでも最適な状態で使用できるよう常に整備し、保管場所が容易に分かるよう明示しておかなければなりません。
  2. 必要に応じて、迅速にかつ適切に使用できるよう、防護具の装着方法等を事前に習得しておかなければなりません。
  3. 防護具を使用した後、適切な消毒や保管を行わなければなりません。
  4. 労働安全衛生法及びその他関連法令で定める就業制限業務並びに危険又は有害な業務に従事する職員は、その定めるところに従い、免許保有、技能講習又は特別教育を修了していなければなりません。

13.3.3 機器、設備、器具及び装置

教職員は、本学における自身の職務を遂行するにあたり、大小や単純・複雑を問わず、ハンマーや溶接トーチからクレーンやレーザーまで、各種の機械、設備、装置、ツール、器具等(以下、併せて「設備」という。)を利用することがあります。全ての作業者は、それらの関連マニュアルを熟読し、危険を回避又は緩和する方法について理解し、熟知しておく必要があります。

13.3.3.1 許可や届出が必要な機器(規制機器)
安衛法及びその他関連法令により、許可や届出が必要な機器については、「安全衛生管理規程」と関連ウェブサイトを参照してください。ただし、火災予防条例に関わる許可や届出については、施設管理セクションが窓口となり対応を行うものとします。

13.3.3.2 設備の無人運転
例外的に、冷蔵庫、冷凍庫、中温で使用するインキュベーター等の運転は無人で行うことができますが、一般原則としては、設備を無人運転(終夜運転を含む。)することはできません。ただし、安全装置が備えられた危険性の低い設備、機器等の場合には、適切な安全対策が施されていれば、無人運転することができます。無人運転を行うときには、以下の表示を掲示しなければなりません。

  • 無人運転又は終夜運転を行う旨のメモを、機器に表示する。
  • 機器に実施中の実験内容、緊急時の処置法と連絡先等を表示する。

13.3.3.3 定期点検を必要とする設備
安全衛生法及びその他関連法令により定期点検を必要とする機器及び設備については、「安全衛生管理規程」と関連ウェブサイトを参照してください。

13.3.3.4 レーザーの使用
レーザーの使用については、「レーザー安全管理規程」及び「レーザー安全基準」を参照してください。

13.3.3.5 エックス線装置の使用
エックス線装置の安全かつ適切な使用を確保するために必要な事項は「エックス線装置管理規程」に定めます。エックス線装置WEBサイト

13.3.3.6 機械工作室
機械工作室への入室及び工作機器を利用する権限を得るためには、事前にエンジニアリングセクションに申請を行い、機器利用に関する講習を受けなければなりません。機器利用にあたっては、エンジニアリングセクションが定めるルールに従い、安全に利用しなければなりません。

13.3.4 電気災害

電気、特に高圧電流を扱う作業、又はその周辺における作業は極めて危険です。正しく適切に、そして注意深く管理し、取り扱わなければ、財産だけではなく人命にも深刻なリスクをもたらします。電気を扱う作業を行う者は、電気災害の防止に努め、電気工事の必要性が生じた場合には電気主任技術者の指導下で電気工事を実施しなければなりません。また、キャンパス内で電気工事を行う場合には、所定の手続きに従わなければなりません。[Link: 電気工事を行う際の手続き]

13.3.5 高圧ガス及び液化ガス

「高圧(圧縮)ガス」や「液化ガス」を取り扱う場合には、「高圧ガス保安法」の要件に従わなければなりません。同法では圧縮ガスの使用を規制し、また、これらのガスの使用方法の詳細について定めています。0.2 MPa に達する液化石油ガス、圧縮アセチレンガス、液化シアン化水素、液化酸化エチレン及び液化ブロムメチルも、高圧ガスと同様に規制されています。高圧ガスや液化ガスなど規制されているガスを使用する者は、高圧ガスに関する教育訓練を受講し、高圧ガス保安法に沿った安全対策を執り、高圧ガスを安全に使用しなければなりません。

13.3.6 内部審査が必要な実験/研究

遺伝子組換え[Link: 13.3.7]、病原体、毒素、[Link: 13.3.8]、実験動物[Link: 13.3.9]、放射線[Link: 13.3.10]、人対象研究[Link: 13.3.11]、野外活動[Link: 13.3.13]及びレーザー[Link: 13.3.3.4]を用いる実験に関しては、実験を開始する前に、実験者は、事務局(担当セクション)に申請書を提出し、内部審査委員会を経て事務局長から承認を得なければなりません。ただし、動物実験については、プロボストの承認とします。

本学の内部審査委員会は、以下のとおりです。

  • バイオセーフティ委員会
  • 動物実験委員会
  • 放射線安全委員会
  • 人対象研究審査委員会
  • 野外活動安全委員会
  • レーザー安全諮問委員会

13.3.7 遺伝子組換え実験

遺伝子組換え実験は、以下及びその他の関連法令を遵守して実施しなければなりません。また、事前に適切な教育・訓練を受講して、必要な手続きを終了しなければなりません。外部の機関と遺伝子組換え生物等の授受を行う場合は、輸出入に関する法令や輸送機関のルールを遵守して、事前に必要な手続きを終了しなければなりません。

13.3.8 病原体等取扱い実験

病原体等取扱い実験は、以下及びその他の関連法令を遵守して実施しなければなりません。また、事前に適切な教育・訓練を受講して、必要な手続きを終了しなければなりません。外部の機関と病原体等の授受を行う場合は、輸出入に関する法令や輸送機関のルールを遵守して、事前に必要な手続きを終了しなければなりません。なお、本学では、バイオセーフティの対象となる生物系試料が多岐にわたりますので注意が必要です。

13.3.9 動物実験

動物実験は、以下及びその他の関連法令を遵守して実施しなければなりません。また、事前に適切な教育・訓練を受講して、必要な手続きを終了しなければなりません。外部の機関と実験動物の授受を行う場合は、輸出入に関する法令や輸送機関のルールを遵守して、事前に必要な手続きを終了しなければなりません。

13.3.10 放射線を利用する実験

放射を利用する実験は、以下及びその他の関連法令を遵守して実施しなければなりません。また、事前に適切な教育・訓練を受講して、必要な手続きを終了しなければなりません。放射性同位元素の購入手続きは、放射線取扱主任者のみが行うことができます。また、放射線を発生させる機器の設置には、「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」の規定により、事前に許可や届出が必要な場合があります。

13.3.11 人対象研究

人対象研究は、以下及びその他の関連法令を遵守して実施しなければなりません。また、事前に適切な教育・訓練を受講して、必要な手続きを終了しなければなりません。ヒト由来試料を取扱う場合には、血液由来 病原体等への感染防止対策を施さなければなりません。外部の機関とヒト由来試料の授受を行う場合は、輸出入に関する法令や輸送機関のルールを遵守して、事前に必要な手続きを終了しなければなりません。

13.3.12 化学物質

(放射性同位元素(RI)に適用されるルールについては、放射線及び放射性同位元素[Link:13.3.10]の項に記載されています。)化学物質の取扱い、使用、保管は、「沖縄科学技術大学院大学化学物質管理規程」、「労働安全衛生法」及びその他の法令を遵守しなければなりません。化学物質の使用者は、化学物質の種類によって安全要件が異なることに留意しなくてはなりません。化学物質を使用する実験に従事する前に必要な教育訓練の受講を完了しなければなりません。

13.3.12.1 化学物質に係る安全対策の基本ルール
新たな化学物質を取り扱うときは、事前に、化学物質総合検索システム(CHRIP)及び安全データシート(SDS)を使用してください。
適切な防護具(実験衣、ゴム手袋、保護メガネ、マスク等)を着用してください。
潜在的な危険性が高い化学物質の取扱いを予定している場合は、危険性の低い代替物を検討してください。
使用前に、再度、取り扱う化学物質の物理・化学的性質、危険性、廃棄方法を確認してください。
潜在的な事故を防止し、危険を最小化するために、安全対策を講じてください。

13.3.12.2 輸出入
日本では、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」が制定され、新たに製造・輸入される化学物質について事前に人への有害性などについて審査するとともに、環境を経由して人の健康を損なうおそれがある化学物質の製造、輸入及び使用を規制する仕組みが設けられています。化学物質の輸入予定者は、事前に、化学物質安全管理者(安全衛生セクション)に相談し、その指導に従わなければなりません。

13.3.12.3 輸送
化学物質の輸送は、郵便法、内国郵便約款、万国郵便条約、IATA航空危険物規則書等の規定により規制されており、輸送できるものはこれらの規定により明確化されています。輸送のための容器及び包装は、具体的な要件を遵守するものでなくてはなりません。輸送会社によっては、危険物や検疫対象物の配送業務を行っていない会社もあるので、事前に運送会社又は配送会社に連絡してください。また、第4章の4.11.7及び OIST 安全保障管理 WEBサイトも参照してください。

13.3.12.4 特別な注意
特に注意を要する化学物質 以下に列挙された化学物質は、規制省庁により、危険性又は有害性を有すると見なされており、その取扱い、管理及び保管は厳しい要件の対象となります。列挙されていない化学物質についても、以下に列挙される化学物質と同程度の危険性が予測される場合には、同様に特別な注意を払う必要があります。また、関連する法令及び関連規程を遵守しなければなりません。

  1. 有機溶剤(有機溶剤中毒予防規則
  2. 特定化学物質(特定化学物質等障害予防規則
  3. 毒物劇物特定毒物毒物及び劇物取締法
  4. 危険物消防法
  5. 高圧ガス高圧ガス保安法
  6. 麻薬及び向精神薬麻薬及び向精神薬取締法
  7. 覚醒剤(覚醒剤取締法
  8. 核燃料物質(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律

13.3.13 野外活動

野外活動には、屋内における教育研究活動とは異なる危険があります。また、活動場所へのアクセスや生物資源の採取には、様々な法令による規制が設けられています。野外活動を実施する場合には、事前に入念な計画を立案し、安全の確保及び法令厳守を徹底してください。事前に、野外活動に関する規程及びOIST野外活動マニュアルを熟読し、必要な教育訓練の受講及び資格の取得、並びに必要な健康診断の受診を完了してください。

13.3.14 健康及びウェルネス

本学の全ての学生及び教職員は、安全ルールの遵守に加え、自己の健康及びウェルネスに注意を払わなければなりません。特に、各作業エリアは、危険がなく適切な機器を収容し、適切な明るさで照らされ、人間工学的に正しいツール、機器及び備品を備え、適切に換気されているべきです。また、学生及び教職員は、毎日十分な睡眠、運動、栄養価の高い食事、休養及び娯楽の時間の必要性に留意するべきです。

13.3.15 環境保護

本学の学生及び教職員は、以下を遵守して本学の自己の責務を履行しなければなりません。

  1. 施設及び器具・機器を効率的に使用することにより、エネルギー 消費及び温室効果ガスの排出を削減すること
  2. 有害物質について、環境への放出を防ぐため法的要件及び本学の要件に沿った管理・取り扱いをすること
  3. 環境保護に関する研修会に参加すること
  4. 環境保護活動を推進する情報を積極的に交換すること
  5. 実行可能な場合、廃棄物を最小限にし、資源を再利用すること

13.3.15.1 廃棄物管理
廃棄物の管理においては、以下及びその他の関連法令を遵守しなければなりません。当該作業に必要となる教育・訓練プログラム及び手続きを作業開始前に終了しなければなりません。廃棄物の処理及び廃棄 を行う際には、適切な防護服を着用しなければなりません。

13.3.16 災害対策及び緊急時対応

危険な災害への対策及び緊急状況下での適切な対応は、各自が、緊急事態がどのようなものか及びその対応として何をすべきかを知っていれば可能です。教職員及び学生は、自分が働くエリアの緊急時の対応手順、緊急連絡先、避難経路を定期的に確認することにより、備えを維持しなければなりません。教職員及び学生は、「安全衛生に関する緊急時の対応手順及び緊急連絡先ガイドラン」を読み、理解しなければなりません。また、教職員及び学生は、自己の業務に応じた個別の緊急対応計画を作成すべきです。台風時の対応については「台風時対応ガイドライン」を参照して下さい。地震対策については、「地震対策マニュアル」に沿って必要な対策を執ってください。

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