OIST-Keio Showcase Talk Series Vol. 11:分野を超えて共鳴を探る

OISTと慶應義塾大学の研究者が一堂に会し、研究発表、ポスターセッション、ラボツアーを行いました。

OIST-Keio Showcase 11: A group of attendees posing for a photograph
© Keio University / Takeshi Nakaji

2026年5月11日、沖縄科学技術大学院大学 (OIST)および慶應義塾大学の研究者が集まり「OIST-Keio Showcase Talk Series Vol. 11:Resonance Matters – Micro Optical Resonators for Quantum, Bio, and Energy Applications(共鳴の重要性 ― 量子・バイオ・エネルギー応用に向けた微小光共振器)」が開催されました。J-PEAKSプログラムの一環として実施されたこの一日間の共同イベントには、フォトニクス、量子技術、エネルギー応用の交差領域で研究を行う科学者たちが集いました。

シーレ・ニコーマック教授による開会挨拶で本イベントの幕が開け、午前のセッションでは、慶應義塾大学とOISTの研究者が交互に講演を行い、共振器の設計、作製、応用に関する相補的な視点が提示されました。慶應義塾大学の田邉 孝純教授が、マイクロ共振器を用いた周波数コムと、テラヘルツ透過測定および信号処理におけるその可能性について論じ、学術プログラムの口火を切りました。

Professor Takazumi Tanabe from Keio delivering his presentation.
田邉 孝純教授(慶應義塾大学)がシンポジウムで講演を行い、セミナー室に集まった参加者に向けて研究内容を紹介
© Keio University / Takeshi Nakaji
田邉 孝純教授(慶應義塾大学)がシンポジウムで講演を行い、セミナー室に集まった参加者に向けて研究内容を紹介

続いて、OISTのクリストフ・ピン博士が空間フィルタリングおよび非対称変形を用いてウィスパリングギャラリーモードを形成する手法について説明し、幾何形状を慎重に制御することで光学特性を調整できることを示しました。慶應義塾大学の太田泰友教授は転写プリンティングによって実現されるハイブリッド集積量子フォトニクスを紹介、これは異なる光学部品を単一のプラットフォーム上に組み合わせることを可能にする柔軟な製造技術です。その後、OISTのモハメド・ジア・ジャラルディーン氏がダイヤモンド中の窒素空孔中心と結合した薄肉構造を持つWGMマイクロ共振器を用いた共振器量子電磁力学に関する研究を発表し、午前のセッションを締めくくりました。この研究は量子系における強い光 - 物質結合への道筋を示すものとなりました。

ポスター発表では、共振フォトニクスの実験手法、デバイス統合、および新たな応用をめぐって活発な議論が生まれ、学生、ポスドク研究員、教員が直接交流し、質問を行い、共通の研究関心を見出すことを促す場となりました。午後のプログラムでは、量子インターフェースおよび量子材料に重点を置いた講演が続き、OISTの高橋 優樹准教授がスケーラブルな量子フォトニックインターコネクトの実現を目指し、モノリシック直線イオントラップ内に光学マイクロキャビティを統合する試みについて発表を行いました。慶應義塾大学の藤井瞬専任講師は続いて、二次元材料における動的ひずみに誘起される現象のイメージングに関する研究を発表し、光学技術によって微細な物理効果を可視化できること、そしてそれが将来のデバイスに応用される可能性を示しました。

Poster session at Lab 5
Lab 5でのポスターセッション中に研究成果について議論する参加者
© Keio University / Takeshi Nakaji
Lab 5でのポスターセッション中に研究成果について議論する参加者

その後、参加者はセミナー室から実験室へ移動し施設見学を行いました。この見学ツアーでは、施設や製作環境の舞台裏を見学することができ、講演で議論された概念とOISTで行われている実際の研究活動をつなぐ助けとなりました。デバイスや実験装置、測定システムを実際に目の当たりにすることで、理解が深まり、さらなる議論が交わされました。

OIST–Keio Showcase Talk Series 第11回となる本イベントでは、焦点を絞ったテーマでありながら、多様な視点を包含しうることが示されました。共振フォトニクス、量子科学、エネルギー関連応用に関する専門知識を結集することで、このショーケースは、光学システムにおける共振の力だけでなく、研究機関の枠を越えた共同研究における“共振”の力も示すものとなりました。

イベントレポート(慶應義塾大学)