沖縄科学技術大学院大学開学に向けた最終準備

  平成23年6月16日に沖縄科学技術大学院大学学園の設立委員会合(第6回)が、同17日に独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構(機構)の運営委員会(第13回)が、それぞれ開催されました。沖縄科学技術大学院大学の設置事業は、ノーベル賞受賞者を含む世界的に著名な科学者等から構成される両委員会の提言のもとに推進されています。今回の会合は、OISTキャンパスで初めて開催され、また、本年11月に予定される学園設立前の最後の会合となり、大変意義深いものであったといえます。

設置認可に向けての進捗状況

  沖縄科学技術大学院大学初代学長予定者であるジョナサン・ドーファン博士からは、大学院大学の設置認可に向けた進捗状況について報告がありました。同博士は、本年3月に文部科学大臣に対し、平成24年秋の学生受入れを目指して、学校法人沖縄科学技術大学院大学学園寄附行為の認可申請及び沖縄科学技術大学院大学設置の認可申請を行ったことを説明し、申請書類のとりまとめにあたったOIST職員に対して感謝の意を述べました。また、同博士からは、これまでの文部科学省審議会の審査では、追加で説明を求められている箇所がいくつかあるものの、総じて良い評価となっていることが報告されました。優秀な教授陣の確保も審査対象となります。教員予定者30名について、大学院大学の授業科目を担当する専任教員として認められ、26名は博士課程の論文指導ができると判断されました。理事長補佐の竹内新也(文部科学省から出向)からは、同省の設置認可事務担当官の言葉として、「教員審査がこのように滞りなく進むケースは稀である」と評価していたことが紹介されました。

教員採用

  大学院大学開学に向けた教員採用活動についてドーファン博士は、優秀な研究者の採用に成功したことを強調しました。15名以上の教員枠を埋める採用活動は平成22年夏に始まりました。OISTは当初からとても高い採用基準を設け、類い希な研究業績とリーダーシップを備え、それぞれの専門分野で上位5~10パーセントに入ると認められる者を対象としました。現在までに19名の研究者がOISTに加わることに同意しており、全員が開学時の教員となる予定です。また、近い将来、新たに複数の研究者がOISTとの契約を結ぶ見込みです。その結果、教授陣に占める生命科学系と物理科学系の研究者のバランスのとれた体制が構築できます。ドーファン博士は、「こうした採用活動の結果から、大学院大学が極めて優秀な教授陣の獲得に向けて、世界一流の研究機関との厳しい競争でも互角に戦えることが示されました。」と語っています。OIST運営委員のジェローム・フリードマン博士(1990年ノーベル物理学賞受賞)からはOISTの採用活動の成功にお祝いの言葉が寄せられるとともに、同じく運営委員のマーティン・リース博士(ケンブリッジ大学トリニティカレッジ学長)からは、「採用活動の結果について心より賞賛します。大学院大学は素晴らしいスタートを切りました。」との言葉が寄せられました。

  また、ドーファン博士からは、日本学術振興会ワシントン研究連絡センター長の菅原寛孝博士が、沖縄科学技術大学院大学学園のスペシャルアドバイザー就任を受諾したことが報告されました。国の内外における活躍で培われた菅原博士の科学者としてのリーダーシップと経営手腕が大学院大学にもたらされることになります。

 

キャンパス整備の進捗状況 

  大学院大学のキャンパス整備は、第2研究棟と講堂(500人収容)の建設が着実に進んでいます。約170名の工事関係者が働く現場は日々その姿を変え、細かい作業の積み重ねがキャンパスの新たな姿をかたち作っていきます。第2研究棟は平成24年春に、また、講堂は同年2月に完成する予定です。学生用の宿舎や様々な共用施設が入るヴィレッジゾーンは、民間資金を活用して整備される予定です。その第一段階は、平成24年9月に予定されている大学院大学開学(学生受入れ)前に完成する見込みです。

  今回の会合で学園設立委員は、第3研究棟の整備を求める声明文を全会一致で採択しました。第3研究棟の完成は、大学院大学の教授陣に限らず、OISTを訪れる大勢の客員研究者の研究スペースを確保するためにも極めて重要です。ドーファン博士は、「第3研究棟がなくてはOISTの研究は飛躍できません」と語っています。

沖縄科学大学院大学学園理事会及び評議員会 

  沖縄科学大学院大学学園では、理事会及び評議員会の2つの機関がその経営と教育研究活動を監督することになります。ドーファン博士は、現在の運営委員に加えて新たに理事に就任するメンバーを歓迎し、これらの理事の学校運営に係る豊富な経験が大学院大学にもたらす恩恵について期待を示しました。また、同博士からは、学園評議員についても説明があり、本年11月に最初の会合が開催されることが報告されました。(学園理事就任予定者及び学園評議員就任予定者については下記をご参照下さい。)

 

大学院大学の規程・規則 

  大学院大学の健全で効率的な経営基盤構築には、適切な規程類の整備が欠かせません。文部科学省の審査の一環として行われる9月の実地調査においては、大学院大学のポリシーや、規程類の整備状況が審査されます。このため、OISTでは豊富な経験と専門知識をもったメンバーによって構成されたタスクフォースが立ち上げられました。ドーファン博士は、「大学院大学の職員や研究者、そして学生が規程類に守られていると感じることはとても大事なことです。」と強調しています。

琉球大学との連携関係 

  琉球大学との間では、本年4月にOISTで行われた同大学との意見交換で、以下の4分野の具体的な連携方策が提案・協議されました。

  • 学術面での連携
  • 学部教育
  • 雇用機会
  • 文化的豊かさ(自然科学と人文科学の交流等)

 

沖縄科学技術大学院大学学園設立式典

  設置認可が予定通り下りた場合、来たる11月19日に沖縄科学技術大学院大学学園の設立を祝して式典が開催されます。当日は、大学院大学設立に導いた機構のシドニー・ブレナー理事長の功績を称え、シンポジウムを行います。そして午後には、設立式典を行います。ドーファン博士からは、マサチューセッツ工科大学(MIT)前学長のチャールズ・ベスト博士が基調講演を行うことを受諾されたとの報告がありました。

沖縄科学技術大学院大学について 

  沖縄科学技術大学院大学は、沖縄科学技術大学院大学学園法に基づき開学準備が進められている新しい大学院大学で、沖縄において世界最高水準の科学技術に関する教育研究を行い、沖縄の自立的発展と世界の科学技術の向上に寄与することを目的としています。現在までに30の研究ユニット(研究者約180名)が発足し、神経科学、分子科学、数学・計算科学、環境科学の4分野において、学際的な研究活動を展開しています。また、国際ワークショップやコースの開催など、学生や若手研究者の育成にも力を入れており、これらの取組は国際的にも認知されています。大学院大学設置認可は平成23年11月の見込みです。

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