海・砂・計算神経科学

 昨年設置されたばかりの真新しい大学にとって、9年目となる人材育成・教育プログラムの開催は珍しいケースです。そのようなプログラムのひとつとして沖縄計算神経科学コース(OCNC)が挙げられます。OCNCは過去9年間の実績を通じて、世界的にも優れた脳神経科学分野の短期集中コースのひとつとして定評を受け、OISTの同分野におけるリーダーとしての位置づけに貢献しています。本年度の3週間にわたるプログラムは6月29日(金)に最終日を迎えます。

 OCNCの参加者は、学生、チューター、講師の3者で構成されています。学生の大半は大学院生または博士課程を修了した若手研究者で、コースでは午前中に講義を受け、午後はチューターの助けを借りて各自が実習プロジェクトに取り組みます。そしてコースの最後には、それぞれがプロジェクトについて5分間の発表を行います。「ここではプロジェクトが大変重要視されています。」と、本年度の参加者のひとりで、ケンブリッジ大学の大学院生ニコン・ラスモブさんは述べた上で、「コース開始前からプロジェクトに取り組み、これまで時間が取れず、取り組めなかったテーマについて掘り下げた研究を行います。」と語ってくれました。

 ラスモブさんは、他の参加者との交流の機会について、「実験系と理論系という2つの異なるバックグランドを持つ参加者が交わることにより、相互の研究が加速されのです。」と、本コースのもうひとつの魅力について語ってくれました。また、今回講師をつとめた面々には、計算神経科学分野で名を馳せる研究者も含まれており、ラスモブさんはこういった講師陣との交流の機会についても魅力的だと述べました。

 本コースの共同主催者であり、OIST計算神経科学ユニットを率いるエリック・デ・シュッター教授は、ワークショップの主な目的のひとつはコミュニティの構築であると説明します。この目的を達成するため、コース開催期間中は参加者の学生とチューターの全員がOISTのシーサイドハウスで滞在を共にします。デ・シュッター教授は、「そこで培われたネットワークが、彼らの生涯を通じて継続されるでしょう」と、示唆します。

 OCNC(沖縄計算神経科学コース)は2004年に神経計算ユニットの銅谷賢治教授によって始められました。当初は、現在よりも期間が短く、特定の研究テーマに絞って開催されていました。エリック・デ・シュッター教授はOISTへの着任前に講師として2006年のOCNCに参加し、それが決め手となり、OISTに応募するに至ったと言います。同様に、博士課程を修了した若手研究者の募集活動においてもOCNCは大きな役割を果たしていると同教授は語っています。

 今日OCNCは、エリック・デシュッター教授、銅谷賢治教授、ジェフ・ウィッケンス教授が共同で主催しており、参加応募者の質は年々高まっています。応募者の採択率は昨年が17%、今年は15%となっています。その理由についてエリック・デ・シュッター教授は、「優れたサポート体制とチューターが揃った実践的なコースであり、その評判が年々広まっているのだと思います。」と、語ってくれました。