蒸暑地域におけるサステナブルな暮らしをめざして

沖縄で持続可能な暮らしにつながる技術開発の産学連携共同研究が始まりました。

 この度、沖縄科学技術大学院大学(OIST) と(株)ミサワホーム総合研究所は、蒸暑地の生活におけるエネルギーおよび水に関して持続可能(サステナブル)な導入および利用を可能にするシステムを開発・構築し、こうした地域においてエネルギー効率が良く、快適な生活を提供する住宅を開発することを目的として、共同研究契約を締結しました。


 蒸暑地域は、日本では南九州・沖縄から、さらに東南アジアをはじめとする広い地域に広がっています。これらの地域は人口の増加が著しく、CO2 排出量も大きく増えることが予想されています。高温多湿で年間を通じて気温差が小さく、低緯度の為紫外線が強く、台風の常襲があるといった課題もあります。一方、日本の産業部門のエネルギー消費量がこの30 年間に2 割近く減少しているにも関わらず、住宅部門のエネルギー消費量は2 倍になっており、今後の成長が見込まれる国々の住宅においても長期的対処が必要になると考えられます。このようなことを踏まえ、OISTとミサワホーム総合研究所が開発に着手する蒸暑地域におけるサステナブルな暮らしにつながる技術や知識を活用することで、地球温暖化対策に寄与することが期待されます。

 本共同研究OIST側代表研究者である北野宏明教授は、「地球規模の課題の一つである、サステナビリティーのテーマに関しては、これまではエネルギー問題に集中してオープンエネルギーシステム(OES) の研究を推進してきました。しかし、同時に、水や住環境なども含めたソリューションを見出していく必要があります。今回の共同研究が、途上国や島しょ国も含めた地域において、サステナブルかつ快適な生活を実現する「サステナブル・リビング・アーキテクチャ」を推進する大きな一歩となるでしょう。」と期待を膨らませています。

 本共同研究のミサワホーム総合研究所側代表研究者である太田勇環境エネルギーセンター長は、「地球温暖化に伴い、日本の多くの地域が蒸暑地化することを想定し、一方で今後の人口増と成長が予測される東南アジア、アフリカ、中東諸国の多くが蒸暑地に位置していることを考えれば、蒸暑地のサステナブルな社会と住まいを実現する技術が今後一層重要になることは明らかです。自然エネルギーを主要な電源とする超分散型エネルギーインフラシステム技術を持つOISTと、住宅のゼロエネルギー化を世界でいち早く実現したミサワホーム総合研究所がコラボすることで、国内外に共通した蒸暑地の環境エネルギー問題に対する解決策を見出したいと思っています。」と研究の意義を評価、今後の課題への取り組みに意欲を示しています。

 本共同研究のために建設予定の実験棟は、沖縄県恩納村谷茶に位置するOIST の敷地内に今年3月末日に竣工する予定です。屋根に設置した太陽電池が発電する際に発電に寄与しないエネルギー(熱)を活用して室内の除湿を可能にするシステム、壁全面で冷房する放射冷房システム、OES を見据えた宅内DC(直流)給電などを実装します。

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