SHIMA:沖縄・ハワイSTEM共同教育ワークショップ

沖縄とハワイの異文化間の学習交流促進を目的として、OISTとハワイのNPO法人との共同により、教育ワークショップが開催されました。

沖縄科学技術大学院大学(OIST)は、沖縄とハワイの異文化間の学習交流促進を目的として、ハワイのNPO法人Kuaʻāina Ulu ʻAuamo(KUA)と共同で、第1回SHIMA:沖縄・ハワイSTEM共同教育ワークショップを7月17日から25日に開催しました。

沖縄とハワイ双方の歴史を形作る上で欠かせない、豊かな文化遺産と自然への敬意に触発されたこのプロジェクトでは、自然資源管理の伝統的な手法に焦点を当て、陸と海のつながりに関する知識の共有を促すためのワークショップを行いました。米国総領事館那覇事務所の年間プログラムの一部を利用した本ワークショップは、両国の高校生に科学と持続可能性への情熱や興味を高めてもらい、STEM(Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学))分野でのキャリアを選択肢として考えてもらうことも目的の一つとしています。

沖縄の高校生とOISTの科学教育アウトリーチチームのメンバー

今回のワークショップでは、沖縄県内の高校から集まった計13名の生徒が、セミナーや科学のデモンストレーション、体験学習に参加しました。持続可能な環境管理と海藻養殖に関連し、自然保護、化学、芸術・文化など、多様なトピックが取り上げられた各セミナーでは、OISTの研究者や博士課程学生の他、地域の農林水産業に携わる専門家が登壇し、熱心に聞き入る高校生に向けてレクチャーを行いました。

赤土の流出防止策を学ぶフィールドワークで、サンゴ礁に悪影響を及ぼす赤土の流出を防ぐため、農地にベチバー草を植える

恩納村漁港にある海藻養殖場を訪れ、持続可能な海藻養殖の方法について学習する生徒たち

参加者は恩納村の農場を訪問して赤土の流出防止策を学んだり、漁港を訪問して持続可能な海藻の養殖方法を学んだりするフィールドワークを行いました。体験学習では、グリーンベルトの植え付け、海藻の顕微鏡観察、サンゴの植え付けなどを行いました。

ワークショップ2日目には、参加者が自己紹介をするオンライン・セッションが行われました。本セッションは、沖縄の古典音楽の演奏とハワイの伝統的な祈りがオープニングを飾りました。OISTミサキ・タカバヤシ副研究科長は、参加者を歓迎するとともに、大陸に比べて気候変動の影響を受けやすい島嶼(とうしょ)地域にとって、環境の持続可能性がいかに重要であるかを説明しました。また、参加高校生に対して「皆さんは未来の発明家です。島嶼社会に受け継がれてきた知恵を使って、持続可能なイノベーションを起こしてほしい」と呼びかけました。

さまざまな種類の海藻の目視や観察を通じ、海藻が日常生活でいかに利用されているかを学習する生徒

ワークショップの終盤には、生徒たちはこれまで学んだことを発表するプレゼンテーションの準備を行います。今年は新型コロナウイルスの影響を受けた制約により、沖縄からの参加者はハワイを訪問できませんでしたが、両国の学生がそれぞれの作品を発表し、オンラインでお互いに積極的に質問を投げかけるシーンが見られました。

今回のワークショップでは、参加者全員にとって実りあるものとなりました。ワークショップを通して、沖縄とハワイからの参加者は、新しい友人を作り、より持続可能な生活を送るための新しいアイデアを得ると同時に、出身の島にさらなる誇りを持つことができたことでしょう。

 

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