I²スタートアップ・アクセラレーター・プログラム、最新ベンチャー企業紹介

ショーディッチソンは、栄養補助食品業界に新技術をもたらすことを目指しています

栄養補助食品業界は、消費者の需要増加に伴い、2024年までに30兆4000億円(2780億ドル)の価値を生み出す1と期待されています。それでもなお、市場でのイノベーションは依然として限定的であり、取扱いの厄介なパウダー状で、栄養上の利点に疑問点のある製品が多く普及してしまっています。
 
そこに、栄養テクノロジー企業の株式会社ショーディッチソンが参入します。この会社は、いままでにないデリバリーシステムと、科学的根拠に基づいたフォーミュラで革新をもたらしつつあります。創立メンバーらは、ロンドン大学博士課程中に出会い、その後沖縄科学技術大学院大学(OIST)のI²スタートアップ・アクセラレーター・プログラムから支援と資金を受けるため、沖縄に移住してきました。

CEOのザッカリー・ベル博士は、次のように述べています。「私たちは、今現在業界に存在しない全く新しい変化を持ち込んでいるのです。」

ショーディッチソンは、独自の「シード」と呼ばれるコンパクトなカプセルでサプリメントパウダーに取って代わることを目指しています。水に即効で溶ける能力を保持したまま、手軽に、崩れてしまうことなく持ち運べるカプセルです。
 
「シード」はまた、彼らが想定しているフィットネス愛好家の使用に留まらず、十分なたんぱく質をなかなか摂取できない日本の高齢人口にも恩恵をもたらすことでしょう。お買い物の後、粉末の入った大きな袋を自宅に持って帰る代わりに、シードは軽量の処方薬と同様、手軽に持ち運ぶことができるのです。

シードは、従来のサプリメントパウダーよりも持ち運びが簡単で無駄が少ない。

スタートアップ・アクセラレーターへの道のり

チームはこれまで、従来のサプリメントパウダーによって生じる問題を解決するため、新しいデリバリーシステムを創り出すことに焦点を当ててきました。その結果、特定の栄養素に合わせたシードの組成や種々の形状を作製できたのです。既にチームは、2件の特許を出願中であるばかりでなく、投資家からの継続的な支援を受けています。
 
シードの確実なデリバリーシステムの実証に成功したチームはまた、地元で栽培されている茶を専門としている薬草学者の助言を受けつつ、新しいフォーミュラ作りに取り組んでいます。この沖縄に固有の薬草のブレンドは、抗炎症作用で長年知られており、いくつもの症状に対する治療薬的な可能性を示唆するものです。
 
ショーディッチソンは現在、お茶の抗炎症作用が事実であるかどうかを判断するため、ヒトを対象とした臨床試験を準備中です。臨床試験でこの作用が実証された場合、ショーディッチソンは、地元の薬草学者と提携し、このお茶を沖縄やその他の地域でも入手可能なシード形状にすることを目指しています。

シードは水に急速に溶解し、ほんの数回振るだけで飲用できる。

大学から起業まで

スタートアップへの道のりは、ビジネスに移行するこの科学者のチームにとって必ずしもスムーズではありませんでした。
 
「私たちは皆、学術畑の出身ですから、起業家精神やリーダーシップといったものについて正式な訓練を受けたことは一度もありませんでした。日本語が母国語ではないこともあり、この道のりは実現不可となってしまった可能性も大いにありました。」とベル博士は述懐します。
 
OISTのI²スタートアップ・アクセラレーター・プログラムの一環として、ベル博士とチームメンバーは、研究開発のための実験室施設に加え、メンタリングやトレーニング、専門的なサービスを受けることもできます。
 
「OISTの強固なネットワークと、困難な課題に解決策を見出す能力は、非常に貴重でした。とはいえ、同時に私たちは、何かに縛られずに探求する自主性—結局のところ、このことこそ、学ぶためには最良の方法—を与えられてきました。」
 
プログラムを担当している技術開発イノベーションセンター准副学長のローレン・ハ女史は以下のようにコメントします。「強固で情熱的なチームこそ、時には、アイデアや技術以上に、スタートアップ成功への大きな要因となります。OISTのI²スタートアップ・アクセラレーター・プログラムでは、どこの出身の人々であるとか、アイデアが大きな可能性につながるかどうかに関わらず、発掘し得る、最も賢くて活発で決意の固い創設者を支援することを目指しています。」
 
「このプログラムはまた、意欲的な起業家が、沖縄の美しい大学キャンパスの敷地内で会社を創出させる手助けにもなるのです。」

I²スタートアップ・アクセラレーター・プログラムについて

I²スタートアップ・アクセラレーター・プログラムは、OISTの施設、リソース、ネットワーク、および最先端の機器を活用することで、起業家が10〜12カ月以内に概念実証から市場に製品を導入するまでの過程を支援します。沖縄に非常に有望な起業家を誘致することにより、沖縄の自立的経済発展を支援することを目指しています。このプログラムは政府や民間セクターと提携して、スタートアップ企業に市場洞察、コラボレーション、資金調達、投資機会へのアクセスを提供します。I²スタートアップ・アクセラレーター・プログラムは、現在申請を受け付けています。

I²:  スタートアップ・アクセラレーター・プログラムへの応募や詳細はこちらから。  

1. 出典:GrandViewResearchによる2019年「栄養補助食品市場規模」レポート。

広報・取材に関するお問い合わせ:media@oist.jp

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