サイエンスプロジェクト for 琉球ガールズ

科学への関心を高め、将来のキャリアの選択肢を提示し、同じような志を持つ仲間とのネットワーク作りを目的としたワークショップに沖縄の女子高校生たちが参加しました。

 3月25~26日の2日間にわたって開催されたワークショップ「サイエンスプロジェクト for 琉球ガールズ」(主催:沖縄科学技術大学院大学・琉球大学、後援:沖縄科学技術大学大学院大学発展促進県民会議)には、県内から30名の女子高校生が参加しました。科学への関心を高め、同じような科学への志を持つ仲間とのネットワーク作りをする機会となった同ワークショップは、科学におけるジェンダーの多様性、すなわち女性の活躍を後押しするために企画されました。

 過去数回にわたって開催された本ワークショップ。今年は宮古島や石垣島からの参加もありました。OIST人材多様化セクションのスタッフで、本ワークショップを企画・運営したメンバーの一人でもある外間絵海さんは、「離島の学生が沖縄本島の友達を作るのは容易ではありません。この年頃になると、女子学生たちは将来のキャリアを選ばなければなりませんが、離島の学生たちは選択肢について話し合う十分な数の友達に恵まれないこともあります。」と、語ります。

 ワークショップ初日、女子学生たちはOISTで盛りだくさんのプログラムをこなしました。OISTマイクロ・バイオ・ナノ流体ユニットのエイミー・シェン教授は、「石鹸と洗剤の仕組み」という体験型セミナーを行い、学生たちは自分たちの手を使って表面張力を体験しながら洗剤の分子メカニズムについて学ぶ機会となりました。

表面張力の実験をする県内の女子高生
表面張力の実験をする県内の女子高生

 「女性でも科学者になれると見知ってもらうこと、それと自分が目指す手本とすべき存在となることが大事です。また私にとって、次世代を教育することは、責任の一部と考えています。」と、シェン教授はコメントしました。

 また、OIST地域連携セクションのスタッフである山内優貴さんがラボツアーを引率し、学生たちは、動物の感情にも似た制御機能を持つ適応ロボット研究に焦点を当てた神経計算ユニットと、沖縄のサンゴ礁を含む多くの海洋生物について研究しているマリンゲノミックスユニットを訪問しました。「学生さんたちには進化発展している科学を感じてもらえたと思います。」とラボツアー後、山内さんは話しました。

OIST見学ツアーで県内女子高生をガイドする山内優貴さん
OIST見学ツアーで県内女子高生をガイドする山内優貴さん

 OIST植物エピジェネティクスユニットの佐瀬英俊准教授は、「植物をもちいた遺伝の研究:遺伝子からどのようなことがわかるのか?」というタイトルで、この日を締めくくるセミナーを行いました。学生たちが熱心に聴講したセミナーの最後には、佐瀬准教授のもとで研究インターンをしている学生の比屋根芽衣さんが紹介されました。比屋根さんは、「皆さんが、叶えたいと頑張りさえすれば、それは現実となりますよ。」と語り、キャリアとして科学分野も現実的な選択肢として考えるよう、エールを送りました。

 すでに何人かの女子学生たちは、将来科学の世界で働きたいと心に決めています。崎山皓帆(あきほ)さんは、「私は将来、たくさんの人たちを助けたいと思っています。医者になりたいです。」と意欲を示しました。新里海咲(みさき)さんは、「生物学に興味があります。他に類を見ない沖縄の環境を研究したいと思っています。そして将来は、バイオ化粧品の開発をしたいです。」と夢を語りました。

 またこの日は、大学において科学を学ぶことについてより良く知ってもらうため、OISTから大学院生2名と琉球大学から科学専攻の学部生2名との率直な話し合いの場をもちました。

 翌日、学生たちは、沖縄本島北部にある、やんばるの森を散策しました。琉球大学亜熱帯フィールド科学教育研究センターの高嶋敦史助教授が引率し、学生たちは自然環境の中で生態学探索についての理解を深めました。

広報・取材に関するお問い合わせ:media@oist.jp

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