有馬朗人博士 沖縄経営者協会で講演

 去る2月8日、那覇市内で開催された社団法人沖縄経営者協会の2月経営懇談会において、OIST運営委員会共同議長の有馬朗人博士が約110名の会員の方々を前に講演しました。「日本の教育と科学・技術」と題したこの講演で有馬博士は、戦後日本の教育を取りまく国際環境についてふれ、さまざまな統計比較から日本の小中学生の学力レベルが大幅に低下したように言われているのには事実誤認があり、統計対象となる国の数が大幅に増えたなかで、日本の順位は若干低下したのみであり、学力水準は決して低下していないと説明しました。一方で、科学技術に関する理解度と関心度については、日本は子どものうちは順位が高いものの、大人になると下がるというデータから、高等教育の重要性を指摘しました。また、有馬博士は平成7年に施行された「科学技術基本法」をとりあげ、平成元年当時は研究活動にあてられる国の競争的資金(科学研究費補助金)がわずか五百数十億円であったのに対し、この法律によって予算が着実に増加し、平成23年度には約2600億円(政府予算案)に達したことを紹介しました。

 このほか、有馬博士は日本の高等教育について、他の先進国と比較して日本の大学は留学生の数も外国人教員の数もいまだ少なく、例えば外国人教員の全教員数に占める割合が米国ハーバード大学では29パーセントであるのに対し、日本の大学平均はわずか5.1パーセントであることを指摘しました。そして、日本の大学が国際競争力を得るには、大学の国際化が必須であり、それには外国からの教員、研究員、学生の受け入れを増やす必要があると強調しました。

 最後に、有馬博士は沖縄科学技術大学院大学(OIST)についてふれ、学生と教員の半数以上を外国人とすることを目指していることや、使用言語を英語とすることなどを紹介しました。沖縄がアジアの中心に位置することや、海に囲まれ昔から長寿県として知られていることを挙げ、長寿や海洋科学に関する研究にも期待できると強調しました。また、琉球大学との協力の可能性について期待を示し、県内関係者の本大学院大学に対する支援を呼びかけました。

 

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沖縄経営者協会の会員の方々

 

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有馬朗人博士

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